「そーいやさ」


お互いに半分くらい飲み終わったあとだろうか、陽太が口を開いた。


「なんでこんな無茶したの」


最初、なんのことだか分からなかったけれど、私達が友達になれたのは陽太が鞄をとったからだった。



その重い鞄は、私の右側に置いてある。


チャックが閉まらないままの鞄を見て、私は気づいた。


こんなに楽しい時間を過ごせたせいで、忘れていたけれど。