ドキッとした。 低く、それでいて優しい声。 まるで、映画に出てくるヒーローのような。 「坂上旭高校ですよね?」 「えっ?」 ーなんで知ってるの? 彼の胸ポケットのワッペンは、私がいま着ている制服のものと同じだった。 新しい制服っぽいから、きっと新入生だろう。 同級生か…。 「いま、逆方向行こうとしてない? 1年だよ…ね?」 「あ…迷ってて」 ホントにヒーローじゃないかってくらい、優しい。