あれは確か、中学2年のとき。



「えっ!嘘あゆ、転校するの?」

「そーなの。親の転勤でさあ〜」


教室の隅にいた私でも、その会話は耳に入ってきた。


私とはちがう、大きな声。


栗色の髪をボブほどで下ろしたその少女の名は、小林あゆ。

その隣で彼女の転校を驚くのは遠藤麻夏。


2人とも、いわゆるクラスのリーダー格。



小林さんのほうはそこそこ成績優秀だったけれど、遠藤さんのほうはお世辞にも優秀とは言えない。


そんな2人が仲良くなるとは。