木曜日。
次の日、私は初めて自分から杉原さんに『会いたい』と連絡した。
彼はきちんと応じてくれた。
呼び出したのは、支店から市電で二駅離れたレストラン。
こぢんまりとした白い壁のその店は、まだ付き合い始めの頃に、彼に一度連れていって貰った店で、夕方にはお酒も飲める。
「やあ、すまないね。少し遅れた」
ふわりとした微笑をたたえて、彼は私の向かいに腰かけた。
「あの__」
決心は固い。
早速切り出そうとした私を,彼は軽くいなした。
「まあそう急ぐなよ。
腹が減ってるんだ、注文くらいさせて?
ああ、君。これとこれと…それから白ワイン。このお薦めのやつ、グラス2つね」
通りかかったウェイターを呼び止めて、迷うことなくいくつかの品をオーダーする。
相変わらず私の意見を聞くことはない。
以前の優柔不断な私の目には、それが決断力なのだと見えたものだけど。
『俺には選択する権利すらないのか』
ラーメン屋さんでそう言った祥善寺を思い出し,思わずクスッと笑ってしまう。
杉原さんが、怪訝そうに眉をしかめた。
次の日、私は初めて自分から杉原さんに『会いたい』と連絡した。
彼はきちんと応じてくれた。
呼び出したのは、支店から市電で二駅離れたレストラン。
こぢんまりとした白い壁のその店は、まだ付き合い始めの頃に、彼に一度連れていって貰った店で、夕方にはお酒も飲める。
「やあ、すまないね。少し遅れた」
ふわりとした微笑をたたえて、彼は私の向かいに腰かけた。
「あの__」
決心は固い。
早速切り出そうとした私を,彼は軽くいなした。
「まあそう急ぐなよ。
腹が減ってるんだ、注文くらいさせて?
ああ、君。これとこれと…それから白ワイン。このお薦めのやつ、グラス2つね」
通りかかったウェイターを呼び止めて、迷うことなくいくつかの品をオーダーする。
相変わらず私の意見を聞くことはない。
以前の優柔不断な私の目には、それが決断力なのだと見えたものだけど。
『俺には選択する権利すらないのか』
ラーメン屋さんでそう言った祥善寺を思い出し,思わずクスッと笑ってしまう。
杉原さんが、怪訝そうに眉をしかめた。