知っていることは、
性別は女で、ハーフで金髪だということだけだった。

名前は……なんだったかな?

「先生、転校生はどんな子ですか?」

委員長が聞いてきた。 

「女子でハーフだ。」

ハーフという言葉が出た途端、三役全員の顔が変わった。

(そうなるよな……)

「だから、希里。よろしくな、女子同士の方がいいだろ。」

希里というのは、副委員長の
希里 若菜(きり わかな)のことだ。
クラスでも人気者だ。

「先生…、転校生といってもハーフって…。
他になんかないんですか? ほら、明るい子とか、静かそうな子っていうか。」

(つまり、ハーフの女子という情報だけじゃ
満足できないということか…。
知るかよっ! 俺も会ったことねーよ…)

「会えば分かるさ、委員長もよろしくな。」

俺はちょっと、カッコつけて言った。

委員長と希里も、何も言わなくなった。

そこから転入生が待つ、視聴覚室までが
遠く感じた。