最初は「うんうん」と相槌を打ちながら聞いていた朋子だけれど、あの日感じた気持ちや、自分でも信じられない言動の数々を話すと、彼女は瞬きも忘れるほどびっくりしている様子だった。

そして今に至る。


「自分が一番驚いている。……だって相手はあの君嶋くんだし。でも――……」

「でも、言葉では説明できない気持ちを抱いちゃったわけだ」

遮って言った朋子に私は目を丸くさせた。

すると朋子は私の気持ちを見透かしているような目で見据えてきた。


「この前はあり得ないって美空に言っちゃったけど、それが恋愛なんだよね。好きになるはずない相手のことを好きになっちゃうこともあると思う」

「朋子……」

呆然とする私に彼女は頬杖をついた。

「嫌いだと思っていた相手だからこそ、意外な一面にやられちゃったんじゃないの?」

からかい口調で言ってきた朋子に、図星でなにも言い返せなくなる。

すると朋子は「アハハッ」と声を上げて笑った。

「さては図星だな? まぁ、でも自分にだけ弱音を吐かれちゃうと母性本能をくすぐられちゃうよね。ましてや美空は強くて暴君な彼しか知らないわけでしょ?」

「……うん」