がやがやと騒がしい病院内の食堂で、私は先ほどから突き刺さる視線に非情に居心地が悪い。

「ねぇ……話したんだから、なにか言ってよ」

耐え切れなくなり自ら声を上げると、目の前に座る朋子は怪訝そうな顔を見せた。

「ごめん、意外な展開にびっくりしちゃって」

そう前置きすると朋子は、身を乗り出してきた。そして周囲を気にすると声を潜めた。

「えっと……つまり美空は彼のことがその……気になるってことよね?」

「それはっ……!」

すぐに声を荒げるも、今の私に否定することはできない。

深いため息を漏らしコクリと頷くと、朋子は目を見開き、背もたれに体重を預けた。


「本当にびっくりだ。恋愛に奥手で臆病になっていた美空に、まさか気になる相手ができるとか。その相手は臆病になった原因を作った人だよね?」

確認するように尋ねてきた朋子。おずおずと頷くと、彼女は目を見開いた。

週明けの月曜日の昼休み。朋子にデートの報告をするように詰め寄られ、渋々あの日のことをすべて話した。