彼に聞かれた瞬間、思い出してしまったのは遠い苦い記憶。
それは君嶋くんと隣の席になって間もない頃。美術の授業で、隣の席の人の顔を書いた時だった。
嫌な思いをしながらもどうにか書き終え、彼も授業の一環ということもあって、なにも言うことなく黙って私の絵を描いていた。
あとは絵の裏に相手の名前と自分の名前を書いて提出すればいいだけ。
その時彼は、前の席の人の肩を叩き、大きな声で尋ねたんだ。
『なぁ、俺の隣って名前なに?』って。
授業終了間近で、教室内はざわざわと騒がしかった。すると当然クラスメイトは面白がって、君嶋くんの周りに集まってきたんだ。
『なに、君嶋お前知らねぇのかよ、隣同士なのに薄情だな』
『本当だよー、かわいそうじゃない』
そう言いながら女子たちはクスクス笑いながら、私の方をチラチラ見てきた。そんなクラスメイトたちに君嶋くんはこう言ったんだ。
『知るわけねぇじゃん。こんな奴の名前を覚えたって意味ねぇし。無駄じゃん』って……。
その言葉にクラスメイトたちは大笑いし、ますます私を惨めにさせた。
それは君嶋くんと隣の席になって間もない頃。美術の授業で、隣の席の人の顔を書いた時だった。
嫌な思いをしながらもどうにか書き終え、彼も授業の一環ということもあって、なにも言うことなく黙って私の絵を描いていた。
あとは絵の裏に相手の名前と自分の名前を書いて提出すればいいだけ。
その時彼は、前の席の人の肩を叩き、大きな声で尋ねたんだ。
『なぁ、俺の隣って名前なに?』って。
授業終了間近で、教室内はざわざわと騒がしかった。すると当然クラスメイトは面白がって、君嶋くんの周りに集まってきたんだ。
『なに、君嶋お前知らねぇのかよ、隣同士なのに薄情だな』
『本当だよー、かわいそうじゃない』
そう言いながら女子たちはクスクス笑いながら、私の方をチラチラ見てきた。そんなクラスメイトたちに君嶋くんはこう言ったんだ。
『知るわけねぇじゃん。こんな奴の名前を覚えたって意味ねぇし。無駄じゃん』って……。
その言葉にクラスメイトたちは大笑いし、ますます私を惨めにさせた。



