復讐劇は苦い恋の味

私ってば本当にどうかしている。嫌いで仕方なかった人なのに昔、見ること知ることができなかった一面を知るたびに、もっと知りたい……って思っているのだから。


「あの、もうひとつお願いしてもいいでしょうか?」

「あっ、はい。なんでしょうか?」

すると君嶋くんは恐る恐る提案してきた。

「敬語で話すのに慣れてしまいましたが、同級生ですし敬語で話すのはやめませんか?」

「そう……ですよね」

つい敬語のまま話していたけれど、私たちは同い年なんだ。それなのに敬語はちょっと不自然だったかも。

「じゃあこれからは敬語はナシで」

「……うん」

「はい」と返事しそうになって慌てて『うん』と答えたものの、なんか違和感を覚える。

けれどそれは君嶋くんも同じようで、照れ臭そうに首の後ろに手を当てている。

やだな、そんな態度取られちゃったら私まで照れ臭くなるじゃない。

恥ずかしいのに心はフワフワしていて、なぜか心地よい。

「あ、それとできたらこれからもさっきみたいに、『君嶋くん』って呼んでもらいたい。……それと俺も呼び方、変えてもいい?」

「えっ……」

「下の名前でも呼んでもいい?」

下の名前――。