復讐劇は苦い恋の味

彼の気持ちがわかる。……わかるからこそ、掛けられる言葉が見つからなかった。

それは今の私に重なるからかもしれない。

圭が社会人になった今も私は、圭の保護者だって気持ちでいるから。

まだ自分には圭を守る義務があると思っているから。


朋子や叔母さんには、『もう圭は立派な大人だ』って言われても、なかなか手離しで圭を見守ることができないんだ。

「では行きましょう。歩いて行ける距離にあるんです」

そう言って歩き出した彼に頷き、ついていくことしかできなかった。



「うわぁ……すごいですね」

「えぇ、見ごたえがありますね」

水族館でペンギンやイルカのショーを楽しみ、最後に訪れたところは大水槽。

視界いっぱいに広がる水槽の中で優雅に泳ぐ沢山の種類の魚たちに、しばらくの間お互い視線を奪われる。

水族館に来るのはいつぶりだったかな? ここに来るまで色々な感情に支配されていたのに、こうやって優雅に泳ぐ魚たちを見ていると自然と心が和らぐから不思議。

ふと隣を見ると、君嶋くんの視線も水槽に釘付けだった。