復讐劇は苦い恋の味

「こういうのいいですね」

「えっ……?」

「好きな人と好きなものが同じで、一緒に楽しむことができることがです」

そう話す彼は本当に嬉しそうで恥ずかしくなる。

「常盤さんは、どの映画作品が一番好きですか?」

「え……あ、私はやっぱり一作目が……」

「俺もです!」


咄嗟に答えると大きな声で言った彼。けれどここが映画館ということにハッとし、君嶋くんは慌てて口元を押さえた。

そして「しまった」と言うように目を泳がせる姿に、堪らず私はまた笑ってしまった。

「もう、君嶋さんってば。声が大き過ぎです。ここは映画館ですよ?」

「……わかってます」

すると君嶋くんはまるで拗ねた子供のように唇を尖らせた。

「仕方ないでしょう? 好きなものが同じで本当に嬉しかったんですから」

ボソボソッと呟く彼に、説明し難い感情がこみ上げ戸惑う。

初めて見る姿に胸の奥がムズ痒いというか、胸がキュンと鳴るというか……。不覚にもいじける姿を“可愛い”と思ってしまった。