復讐劇は苦い恋の味

「なんか新鮮ですね、“おはようございます”って挨拶をするのは」

「えっ?」

キョトンとする私に彼はハニかんだ。

「それに常盤さんの私服姿を見ることができて嬉しいです。……そのワンピース、すごく似合っています」

な……に、それ。

相手は君嶋くんだよ? 昔、私をイジメた相手で今もトラウマに残っていることをされた人。

それなのにどうして私……身体中の熱が顔に集中しちゃうくらい、恥ずかしくなっているわけ?

「あ、ありがとう……ございます」

今日で最後にするんだよね? だったらドキドキしている場合じゃない。

慌てて気持ちを入れ替え、必死に胸の高鳴りを鎮めた。

けれどその間も、彼は愛しそうに私を見つめてくるから、なかなか収まらない。

だめだ、この空気耐えられない。

「えっと……今日はどちらに?」

しどろもどろになりながら尋ねると、君嶋くんはハッとした。

「そうでした、急ぎましょう! でないと始まってしまいます」

「始まるって……え、あのっ!?」

急に私の手を取ると、走り出した君嶋くん。

身体は前のめりになり、足がもつれそうになりながら彼に腕を引かれるがままついていく。