復讐劇は苦い恋の味

当たり障りないワンピースを着てきたけど……今日一日、彼の隣に立っても恥ずかしくないかな? 惨めな思いをしない?

昨日までは、服なんてどうでもいいと思っていたのに、いざ本人を目の前にすると不安になる。

どうしよう、ちょっと遅れるって連絡を入れて新しい服を買う? 幸いここは駅前。

ビルにショップがたくさん入っているし、今着ているワンピースより釣り合いの取れる服が売っているはず。


回れ右をし、バッグからスマホを取り出し、そそくさと退散しようとしたけれど、背後から聞こえてきた私を呼ぶ声に足が止まった。

「常盤さん!」

大きくビクッと反応する身体。

恐る恐る振り返ると、笑顔の彼が一目散に駆け寄ってきた。そして私の目の前で立ち止まると、眩しい笑顔を向けてくる。

「おはようございます」

「……おはよう、ございます」

あぁ、見つかってしまった。これじゃもう服を買いにいけないじゃない。

引きつる笑顔で挨拶を返すと、なぜか君嶋くんは照れ臭そうに首の後ろに手をあてた。