復讐劇は苦い恋の味

「ごめん。いや、美空からそんな話を聞いたの初めてだったからびっくりしちゃって。ちょっと美空ってば、昔イジメられていた相手に恋しちゃったわけ?」

「そっ、そんなわけないじゃない!」

声をどもらせながら言うと、異様に喉の渇きを覚え珈琲で喉を潤おした。

あんなことを言われたら、誰だってドキドキしてしまうはず。だからこれは絶対に恋の始まりではない。

そう自分に言い聞かせていると、朋子は「だよねぇ」と言いながら肩を落とした。


「イジメられていた相手を好きなるとか、あり得ないよね。それにしても悔しいね! 復讐して嫌われるつもりが、ますます好かれちゃったわけでしょ?」

「うっ、うん……」

そうなんだよね。金曜日で会うのは最後とはいかなくなってしまった。土曜日、お昼前から会う約束をしちゃったし。

「この際、高いブランドもののバッグや財布を買わせて、最後に名乗り出ちゃったら? それでさよならすればいいじゃない」

「……うん」

そうだ、もう終わりにしないと。会うのは今度で最後。朋子の話じゃないけれど、今度こそ打ち明けよう。