復讐劇は苦い恋の味

足を止め君嶋くんを見ると、案の定彼は目をパチクリさせていた。

これは彼の私に対する好感度がだだ下がりかもしれない。

「ここです……か?」

私の様子を窺いながら、恐る恐る聞いてきた君嶋くんにすぐに頷く。

「はい。ここの砂ぎもやハツなどが絶品なんです」

敢えて女子があまり好きじゃなさそうな部位を口にする。

店先で呆気にとられる彼を目の前に、口もとが緩みそうになる。

君嶋くんにとって予想外だった? 思い描いていたイメージと違うと思ってくれたらいいんだけど……。

そんな期待を込めて彼を見つめること数秒。なぜか君嶋くんは嬉しそうに微笑んだ。

「よかったです。実は俺も、堅苦しいコース料理より、こういったところで飲み食いするのが好きなんです」

「えっ……?」

予想外の言葉に目を白黒させてしまう。

「それにここ、以前俺も来たことがあって、また来たいと思っていた店なんですよ」

「あっ……あのっ」

そう言いながら君嶋くんはドアを開け店内に入っていく。

「いらっしゃい!」

すぐに後を追って私も店内に入ると、すぐに店員の威勢の良い声が聞こえてきた。