復讐劇は苦い恋の味

「どうもなにも……叔母さん、知っていますよね?」

棘のある声で言うと、叔母さんは『もちろん』と即答。


『いや~それにしても君嶋さん、美空ちゃんにベタ惚れね。お見合いした次の日に私に連絡がきたのよ。“是非またお食事の機会を設けていただきたいです”って』

「そう、だったんだ」

嬉しそうに話されても、反応に困る。それを聞いても私は嬉しいと思えないから。

『もうふたりとも大人なんだし、邪魔者はいない方がいいと思って言ったの。“今度はふたりで行ってきたら?”って。それと“美空ちゃんは奥手なタイプだから、正面切ってグイグイいった方がいいわよ”ともね』

やっぱりそうだったんだ、だから君嶋くんってば病院まで来たわけね。

納得していると、叔母さんは続ける。

『案の定、君嶋くんにグイグイこられて了承したわけでしょ? いいじゃない、食事くらい。ふたりっきりだとお互いのことを嫌でも知る機会になるし』

「それはそうですけど……」

言葉を濁してしまう。

どうしよう、今叔母さんに話してもいいかな? 君嶋くんとは中学の同級生で、彼にいじめられていたことを。