そこからはまた辛い毎日だった。

両親を失った悲しみに浸る時間もなく、今後に関して親戚中が揉めに揉め。

私は叔母さんに、圭は父親側の親戚に引き取られる方向でまとまったんだけれど、私も圭も納得などできるはずなかった。

やっとできた新しい家族。圭とは血の繋がりはないけれど、私たちは姉弟として一年間過ごしてきた。

そんな圭と離れたくなかったし、なにより両親が再婚を機に購入した家を守りたいと思ったんだ。


親族を説得し、両親の遺産や保険金を工面しながら、私と圭は今まで通り家族で過ごした家で暮らせることになった。

私は姉として圭を養うため、大学進学を取りやめ、高校在学中に医療事務の資格を取得。

卒業と同時に家から近い今の職場に就職した。

どうにか家を守ることもでき、圭を大学まで進学させ大手外資系企業へ就職させることができた。


「ただいま。……お父さん、お母さん」

帰宅後、必ず手を合わせるのはふたりの慰霊。仏壇に飾られている写真の中のふたりは、いつも笑顔で出迎えてくれる。