屈託ない笑顔でそう話す彼に面食らう。


君嶋くんのこんな顔、初めて見た。私の前では当然笑顔など見せなかったし、いつも煙たがっているような、嫌悪感を露わにした顔をしていたから。

友達とはよく笑って話していたけれど、ここまで喜びを爆発させている笑顔は初めて。

こんな反応されちゃうと、ちょっぴり良心がチクリと痛む。

けれどすぐに首を横に振った。そして中学一年生の時、彼にされた数々の忘れられないことを思い出す。

彼に昔されたことに比べたら、私がする復讐なんて小さくて可愛いもの。

それに金曜日食事に行けば、きっとそっちから連絡してくることはなくなるはず。

もう会うのは一回だけ。そうでないと、おかしくなりそうだ。

ずっと憎くて忘れられなかった人の笑顔を、目の前で見ているのが辛い。私のことを好きになったとかあり得ない。

どんなに君嶋くんが昔とは違い、変わったとしても私にしたことは一生消えない。過去は変えられないんだ。

こうやって会いにこなければ、たった一度だけの再会で済んだのに。君嶋くんが悪いんだからね?

会いにきた君嶋くんが悪い。

もう私……あなたのこと、許せないから。