復讐劇は苦い恋の味

控室から廊下を進み、会計窓口がある広いロビーへ向かっていく。

時折すれ違う医師や看護師、患者さんに挨拶をしながら歩を進めていると、一際目を引くスーツ姿の男性の後ろ姿を視界が捕らえる。

広いロビーに立つその人は、患者さんも注目を集めている。


百八十センチ以上あるだろうか。彼のスタイルの良さをシックなブラックのスーツがより一層引き立てている。
ドクン、ドクンと脈打つ心臓の鼓動。

後ろ姿だけで判断するのはどうかと思うけれど……つい数日前、会ったばかりだもの、見間違えるはずない。

いつの間にか彼との距離数メートルの場所で足は止まり、ジッと見つめてしまう。

でもどうしてここに? まさか……私に会いにきたとかじゃないよね?

そんなことを考えていると、振り返った彼と目が合った。

ドキッとする私とは違い、君嶋くんは私を見ると嬉しそうに口もとを緩めた。

その表情に不覚にも、私の胸は高鳴る。

やだ、どうしてときめいちゃうかな。君嶋くんの笑顔なんかに!

「よかった、お会いできて」