復讐劇は苦い恋の味

え……彼女? 長続きしなかった?

ふたりの話に違和感を覚える。

だって君嶋くん、前にずっと恋愛できずにいたって言っていたよね? それなのに彼女がいたってことなの?

矛盾する話に彼を見ると、こちらを見ることなく気まずそうにしている。

「でも今は関さん一筋だし、どうか朝陽を見放さないでやって」

「こいつ、この前も言っていたけどだいぶ関さんに惚れこんでいるから」

「あ……うん」

君嶋くんに声を掛けようとしたけれど、ふたりに言われそれを阻まれてしまった。

永田くんたちが話していたのは、どういう意味なんだろう。

なによりふたりの話を聞いてどうして君嶋くんは、気まずそうにしているの?

それに目を合わせようとしてくれない。

聞きたくてもふたりの前ではそれが叶わず、モヤモヤした気持ちのまま四人での食事会は過ぎていった。



「それじゃ関さん、また今度ゆっくり会おうね」

「おやすみー」

「うん、また。気をつけてね」

店先でふたりのと別れ背中を見送った後、すぐに君嶋くんを見る。

目が合うと彼は困り顔を見せた。