君嶋くんの真剣な面持ちを見て叔母さんは表情を緩め、安心したように肩を落とした。

「それを聞けて安心したわ。……ねぇ、圭?」

不意に呼びかけられ驚く圭。

そんな圭に叔母さんは続ける。


「この子たちの両親が亡くなってから、圭は美空ちゃんが育てたようなものなの。だからこそ圭も美空ちゃんには幸せになってほしいのよ。……心配なの、きっとどんな相手でも美空ちゃんがちゃんと幸せになれるか。だから無粋な態度ばかり取る圭だけど、大目に見てやってくださいね」


「いえ、そんな……」

謝る叔母さんに恐縮する君嶋くん。

圭はそんな空気に耐え切れなくなったのか、急に立ち上がり「トイレ」と一言だけ言うと部屋から出て行ってしまった。

彼の背中を見送った後、叔母さんは困ったように笑った。

「まったくあの子は、いくつになっても姉離れできないんだから。……美空ちゃん、行ってあげて」

「叔母さん……」

君嶋くんも叔母さんに続く。

「行ってきなよ」

そっと背中を押してくれた彼。