復讐劇は苦い恋の味

とりあえず君嶋くんと一緒にいることを伝えるべきだよね?

「今、色々あって君嶋くんと一緒なの」

伝えた途端、圭は『はぁ?』と声を荒げた。

『どういうこと? なんであいつと一緒なわけ?』


不機嫌な声で次々と聞いてくる圭にたじろいでいると、どうやら圭の大きな声はすべて筒抜けだったようで君嶋くんは苦笑い。

そして小声で私に聞いてきた。

「変わってくれる?」

「え……でも」

「いいから」

そう言うと君嶋くんは、電話を代わってと言わんばかりに手を差し出す。

『姉ちゃん、聞いてるのか?』

でも私では圭にうまく説明できそうにない。

迷いながらも言われるがまま君嶋くんにスマホを渡すと、君嶋くんはすぐに圭と話し始めた。

「圭くん、こんばんは。今日はすみません、突然お姉さんを連れ去ってしまって」

『連れ去ったってどういうことだよ!』

隣にいてもハッキリ聞こえてくる。圭の怒った声が。