復讐劇は苦い恋の味

「……うん」

頷くと君嶋くんは目を細め、愛しそうに私を見つめる。

「美空……」

囁かれた自分の名前。

朋子や友達には「美空」って呼ばれているのにな。

どうして彼に呼ばれただけで特別な感じがしてしまうのだろう。

ゆっくりと近づく距離。その距離に合わせるように私もそっと瞼を閉じた――けれど……。

次の瞬間、膝の上のバッグの中にあるスマホが鳴った。

タイミングいい着信に肩が跳ねる。

すぐに目を開けると君嶋くんは慌てて私から離れ、「ごめん!」と謝った。

「同じ気持ちでいてくれたことが嬉しくて、つい……」

そこまで言うと彼は座席に寄りかかり両手で口を覆った。

「付き合いはじめたばかりで、いきなりごめん」

そして謝罪の言葉を繰り返す彼に胸がキュンと鳴る。

それは私のことを大切にしてくれているって自惚れてもいいかな? でも私、嫌じゃなかった。

君嶋くんとキスしたい……って思った。