復讐劇は苦い恋の味

「好きだよ。……この先もずっとずっと」

ゆっくりと離される身体。彼の整った顔が目と鼻の先にあり息を呑む。

けれど次の瞬間、ふわりと笑う彼に胸が鳴った。

「もう二度と傷つけない。絶対に幸せにする。……だから俺と付き合ってください」

君嶋くん……。

彼への想いは涙と化して溢れ出す。

「は……い」

それでも返事をすると君嶋くんは目尻に皺をたくさん作って、嬉しそうに笑った。

好きな人の笑顔を見ると、私まで幸せな気持ちになる。自然と笑えてしまうよ。

彼につられるように笑うとより一層幸福感に包まれる。

ひとしきり笑ったあと、君嶋くんは私の様子を窺いながら聞いてきた。


「あのさ……ずっと思っていたんだ」

「え?」

なにをずっと思っていたの?

首を傾げる私に彼は言う。

「本当は最初から“美空”って呼びたかった」って。

驚く私に彼は続けた。

「これからは美空って呼んでもいい?」

名前呼び……。

“ちゃん”がないだけで、こんなにも激しく胸を締めつけられるのはなぜだろう。

もちろん嫌なわけない。