復讐劇は苦い恋の味

「うわ、マジ最悪なんだけど。誰か変わってくれない?」

心ない言葉に胸が痛む。わかっている、彼に私は好かれていないと。でもこんなのあんまりじゃない? 大きな声で言うなんて。

当然クラスで人気者の彼の声に、クラスメイトたちは反応した。

「うわぁ、お前最悪な席じゃん」

「悪いけど、交換してやれねぇ」

そう言ってゲラゲラ笑う男子たちに、私は俯きゆっくりと腰を下ろした。

「ちょっと男子やめなよぉ。席替えは交換ナシって約束なんだから、君嶋もいくら嫌でも文句言わないの!」

「そうだよ、いいじゃん! 冬は隣の席で暖がとれて、温かいんじゃない?」

「言えてるー」

男子と同じように、君嶋くんと仲が良い女子たちが私をバカにすると、クラス中は一気に笑いに包まれる。

悔しい、悔しい……! 私だって好きで君嶋くんの隣に席になったわけじゃない。

変わってくれるなら、私の方が変わってほしいくらいだ。

そもそもどうして私、なにもしていないのにみんなに酷いことを言われなくちゃいけないの?