復讐劇は苦い恋の味

びっくりした。

君嶋くんにそんなことがあったなんて。部活でも先輩たちとうまくやっているとばかり思っていたから。

でもやっぱり彼は後悔してくれていたんだ。


「高校はバスケの推薦で寮に入った。やっぱりバスケが好きだったから。でも二十歳の時に突然父さんを事故で亡くし、俺の生活は一変した。バスケをしているどころではなくなったよ。後継者としての知識を詰め込むのに必死だった。それでもいつも心の片隅に美空ちゃんのことがあった。友達に彼女ができても、恋人を作る余裕くらいはあったけど、ずっと恋愛できずにいたんだ」


「えっ……嘘」

ずっと恋愛できずにいた、なんて――。

信じられず彼を見つめてしまう。そんな私の視線に気づいたのか、君嶋くんはハザードランプを点け路肩に車を停車させた。


「本当だよ。もちろんしたいとは思ったよ。誰かを好きになりたかったし。……でも女の子と接すると、どうしても美空ちゃんのことを思い出していた。人を傷つけた俺が誰かを好きになっていいのか。……もしかしたら俺はまた、誰かを傷つけてしまうかもしれない。そう思うと一歩踏み出すことができなかった」