「ごめん、嫌な思いさせて。……とにかくここを離れよう。話はその後に」

「え……あっ、君嶋くん!?」


彼は私の肩を抱いたまま歩き出した。

頭がついていけない。

君嶋くんはずっと私のこと気づいていないと思っていた。

それなのにあのお見合いの日は初めましてではなかった。気づいていたの? 気づいた上で好きになってくれた……?


聞かされてもやっぱり信じることができなくて、ただ彼に肩を抱かれたままついていくことしかできなかった。