「そうよ、その人君嶋くんに復讐するつもりで近づいたんじゃないの? 見た目変えて騙して酷いことをするつもりよ!」

ズキズキと胸が痛む。

斎藤さんの言う通り、最初はそのつもりだった。

偶然とはいえお見合いの席で再会をして、君嶋くんは私に気づかず好きだなんて言うから。

だから復讐しようと思ったんだ。ずっとトラウマを残され、恋愛に臆病になるばかりだった悔しさを晴らすために。

だからなにも言い返せないし言い訳もできない。

今は違っても最初はそうだったから。

騒ぎを聞きつけ、次第に道行く人も足を止めているようでたくさんの視線と、コソコソ話が耳に入る。

どうしよう……。もうバレてしまったなら潔く認めて、この場で君嶋くんにすべてを打ち明けるしかない?

そんな想いがよぎった時、君嶋くんは私の肩を抱き寄せる腕の力をさらに強め、耳を疑うことを言った。