復讐劇は苦い恋の味

すると君嶋くんは大股でこちらに駆け寄ってくると、私の肩を掴み引き寄せた。

斎藤さんの私の腕を掴む力は弱まっていて、簡単に引き離された。


しっかりと私の肩を抱き寄せる君嶋くんの横顔は怒っていて、その怒りは且つて仲が良かったクラスメイトに向けられていた。

すると斎藤さんはハッとし声を上げた。


「ちょ、ちょっと君嶋くんそんな怒らないでよ。私たちだって見ず知らずの人に馴れ馴れしい態度取るわけないじゃん」

「そうだよ、朝陽。聞いて驚け。そいつは……」

男子がそう言いかけた時、君嶋くんは叫ぶように言った。

「そいつ呼ばわりするな。……彼女は俺の大切な人なんだから」

啖呵を切る君嶋くんに、胸が熱くなる。


ピンチの時にタイミングよく現れて助けてくれるなんてズルイ。……でもそれは、君嶋くんはまだ私のことを“常盤美空”だと思っているからでしょ?

斎藤さんたちにバラされたら、こんな風に守ってくれないよね。

そう思うとまた逃げ出したい衝動に駆られる。けれど君嶋くんにしっかり肩を抱かれていてそれは不可能。