復讐劇は苦い恋の味

そんなわけないじゃない。君嶋くんにだけは会うわけにはいかない。

「……っ!! 離してっ」

声を絞り出し、掴まれた腕を振り払おうとしたけれど、斎藤さんに今度は両手でがっちり腕を掴まれてしまった。


「だめー。君嶋くんだってこんなに変わった関さんを見たいだろうし。綺麗になったでしょ?って驚かせてあげればいいじゃない」

愉快そうに話す斎藤さんに、他のみんなも同調する。

「すっげぇびっくりするんじゃね? 朝陽が一番関取りのことを毛嫌いしていたし」

「変わった関取りを見たら朝陽、どんな顔するだろうな」

「ねー、すっごい楽しみ」


昔のノリで悪ふざけをする彼ら。それでも必死に斎藤さんに掴まれた腕を振り払おうとしていた時、聞き慣れた声が耳に届いた。


「なにやってるんだよ、お前ら!」

初めて聞く怒りを含んだ声に身体が強張る。

声のした方へ視線を向けると、そこにはスーツ姿の君嶋くんの姿があった。

大きな声を上げた君嶋くんに斎藤さんはもちろん、他のみんなも呆然としている。