復讐劇は苦い恋の味

「ありがとう、圭」

いつになく紳士的な圭にお礼を言うと圭は照れ臭いのか、ぶっきらぼうに言った。

「今日だけ特別サービスだよ」

そんな圭にクスリと笑みを零しながらも乗り込むと、圭はドアを閉めてくれて運転席に回った。

そしてエンジンをつけたものの、なかなか車を発進させようとしない。

「圭?」

不思議に思い名前を呼ぶと、圭はゆっくりと私を見た。

「本当、よかったよ。姉ちゃんが無事で。電話もらった時は、生きた心地がしなかった」

苦し気に表情を歪める圭。

「姉ちゃんにもしものことがあったら、俺……」

「圭……」

言葉を詰まらせ目を潤ませる圭に、嫌でも思い出すのはあの日……両親を事故で亡くした日のこと。

私は当時高校三年生で、圭は中学二年生だった。

お互い学校で授業を受けていて、いつもと変わらない時間を過ごしていた。

けれど突然先生が教師に入ってきて、すぐに帰るよう言われて……。