復讐劇は苦い恋の味

「こちらこそ今度時間を取っていただけるとありがたい。よろしくお願いします」

頭を君嶋くんに、圭は面白くなさそうに眉間に皺を寄せた。

「じゃあ是非。……で、俺たちは帰るけどあんたは? 怪我させちまったし、タクシーで帰るなら送るけど」

ぶっきらぼうだけど気遣う圭に、君嶋くんは首を横に振った。

「ありがとう。でも車で来ちゃって。……さっき秘書を迎えを寄こしたから、秘書の運転で帰るよ」

秘書――。そうだよね、君嶋くんは副社長の職に就いているんだ。秘書がいて当たり前だよね。

「あっそ、じゃあ俺たちは帰るわ。行こう、姉ちゃん」

「あっ……!」

圭に腕を引かれながら振り返り見ると、君嶋くんは手を振っていた。

そして口を動かし「また」と言っている。

君嶋くん……。

「ありがとう、またね!」

掴まれていない手を振ると、君嶋くんは一瞬目を丸くさせた後、微笑んだ。

その姿に胸がギューっと締めつけられる。

彼に見送られ病院を後にし、向かう先は駐車場に停めてある圭の車。

施錠を解除すると圭は助手席のドアを開けてくれた。