すると君嶋くんは私の手をギュッと握りしめた。

「わかりました」

そのまま警察の人を見据え力強く答えた。

「ありがとうございます、ではこちらで」

待合室の椅子に座るよう促されると、君嶋くんは私を見た。

「大丈夫、俺がずっとそばにいるから。……だからちゃんと話せるよ」

「……君嶋くん」

どうして君嶋くんは私が話すのに、思い出すのが怖いとわかったのかな。

どうしてこんなにも彼の言葉は私を安心させるのだろうか。

「……うん」

不思議。あんなに怖いと思っていたのに繋いだ手から伝わるぬくもりに、次第に心は落ち着きを取り戻していく。

その後、警察の人の質問にしっかりと答えることができ、一連のことを伝えることができた。


「ご協力ありがとうございました。今後状況によってはまたお話をお聞かせ願うこともあるかと思いますが、よろしくお願いします」

「はい、わかりました」

「わかりました」

事情聴取は十五分ほどで終了し、警察の人は病院を後にした。

すると入れ替わるように待合室に入ってきたのは、圭だった。

「姉ちゃん!」

「……圭?」

私の姿を見るとホッとし慌てて駆け寄ってきた。