夜の緊急外来には毎日多くの患者が運ばれてくる。

家族と共に待合室で待つこと数分、処置室のドアが開いた。

「ありがとうございました」

処置室から出てきたのは君嶋くんだった。

「君嶋くん!」

すぐに立ち上がり、彼の元へ駈け寄る。

「大丈夫?」

「大丈夫、傷も浅かったし大事には至らなかったから」

その言葉を聞き、ホッと胸を撫で下ろした。

「そっか……よかった」

よく後遺症が残るとか聞いていたから、もしなにかあったら……と気が気ではなかった。

「本当……美空ちゃんに怪我がなくてよかった」

私の姿を見つめ微笑む彼に、恥ずかしくなる。

どうしよう、顔が熱い。絶対今の私の顔、真っ赤だよ。

それでも彼から視線を逸らすことができない。すると君嶋くんはそんな私の顔を見てクスリと笑った。

「もう安心だね、犯人も逮捕されたし」

「う、うん……」

本当にもう安心だ。これで圭や朋子にもう迷惑をかけずにする。でも――。