復讐劇は苦い恋の味

そう言うと震える手でナイフを両手に持ち、駆け寄ってくる男性。

「きゃあっ!」

悲鳴を上げる私に君嶋くんは叫ぶように言った。

「絶対ここから離れないで!」

「君嶋くん!?」

すると彼はあろうことか男性に向かって走り出した。

「君嶋くん!!」

すぐにナイフを振る男性。

それを華麗にかわすと、君嶋くんは素早く男性の腕を取りナイフを落とさせた。

「いててっ……!」

腕を締め上げられ声を上げる男性に君嶋くんは、強く腕を掴んだまま言った。

「気安く彼女の名前を呼び捨てにするな。お前みたいなやつに奪われてたまるか」

吐き捨てるように言うと君嶋くんは彼の腹部を殴った。

「うっ……」

苦しそうな声を出し崩れ落ちる男性。

「また暴れられたら困るから悪いけど、少し眠っててもらう」

「なに言って……やめろ!」

男性の願いを虚しく君嶋くんは素早く首元に腕を回し、男性を落とした。

ゆっくりと地面に横たわっていく男性をそっと寝かせると、君嶋くんは大きく息を吐いた。