復讐劇は苦い恋の味

無事に自宅前にたどり着くと、君嶋くんはなぜかエンジンを止めた。

「え、ここで大丈夫だよ。もう家だし」


「そういうわけにはいかないよ。家の灯りついていないし、まだ弟さん帰ってきていないんだろ? だったら帰ってくるまで待ってるから、美空ちゃんは早く家に入って」

「そんなっ……! 大丈夫だから」

慌ててシートベルトを外し車から降りた。すると君嶋くんも車から降りてこちらに来る。

「本当に私なら大丈夫。家の中なら安全だもの」

「でも弟さん、今日は遅くなるんだろ? だったら心配なんだけど」

過保護な彼に目を白黒させてしまう。

ここまで送ってもらえただけで充分なのに。君嶋くんってば心配しすぎだよ。

けれどそれと同時に嬉しさがこみ上げる。


「ありがとう、心配してくれて。でもそれを言ったら私も同じだから。……仕事で疲れているでしょ? だったら早く家に帰って休んでほしい。それにほら、もしなにかあったら、連絡するから」

彼を安心させたくてバッグからスマホを取り出した。