復讐劇は苦い恋の味

「ごめん! 急に手を掴んだりして」

なにやっているんだろう私。見られたくない一心だったとはいえ、彼の手を自ら掴むとか……!

恥ずかしくて顔を見られない。

「いや……むしろ嬉しかったんだけど」

「え?」

顔を上げると、君嶋くんは口元を手で覆っていた。

「俺はいつも美空ちゃんと手を繋ぎたいと思っているから。だから嬉しかった」

「君嶋くん……」

なにこれ、呼吸がうまくできないくらい、胸がギューギュー締めつけられて苦しい。

だってこんなの、ズルイ。照れながら『嬉しかった』だなんて。


ただジッと彼の照れた顔を眺めることしかできずにいると、君嶋くんは耐え切れなくなったように私の手を乱暴に取った。

「早く行こう。俺もお腹すっげぇ減ってるんだ」

「え、あっ……!」

私の手を掴んだまま歩を進める君嶋くん。

時折灯りに照らされる彼の耳は赤く染まっていて、それを見ただけでまた胸がギューッと締めつけられた。

私が知っている君嶋くんは、明るくて常にクラスの中心人物で。いつも楽しそうだった。