「ちょっと姉ちゃん、俺は真面目に聞いているんだけど?」

ムスッとする圭だけれど、口元はなかなか引き締まらない。

「ごめん、圭にはヒミツ事できないなって思って。すぐに嘘とか見破られちゃいそうだし」

「当たり前だろ? ……家族なんだから」

照れ臭そうにボソッと囁いた圭の言葉が嬉しくて、心が温かくなる。

「そうだね、家族だもんね。バレちゃうよね」

今度は私が照れている圭の顔を覗き込むと、彼はしかめっ面を見せた。

「なんだよ、その得意気な顔は。いいからさっきの質問に答えろよ」

さっきの質問、か。

『昔とは別人みたいに変わっちゃっていたわけ?』


「……うん、本当に君嶋くんなの? って聞きたくなるほど変わっちゃってた。優しくて気遣いができて話も合って。……一緒にいると楽しくて心地いいの」


男の人に対して初めて抱く感情だった。友達と一緒にいる時とは違った居心地のよさで、うまく言葉では言い表せられないけれど、楽しくて満たされるっていうか……。

でもちゃんとわかっているの。

彼は友達じゃない、男の人だって。私のことを軽々と抱き抱えちゃうほど逞しくて、そして頼りになる人だって。