そこまで説明すると、圭は大きな溜息を漏らした。


「親切にしたら惚れられて勘違いされて、連れ去られそうになっていたってわけだ。……昔から言ってるけど、姉ちゃんもう少し警戒心を持ってよ」

「……ごめん」

素直に謝るしかない。だって圭が来てくれなかったら……って想像するだけで怖いから。

「圭が来てくれて、本当によかった。……ありがとう、助けてくれて」

今になってまた怖くなり、圭のシャツの裾をギュッと握りしめる。

すると圭は再び溜息を零し、ガシガシと頭を掻いた。


「とにかく姉ちゃんが無事でよかったよ。……早く帰ってきて本当によかった。出張中に姉ちゃんにもしものことがあったらって考えただけで怖ぇし」

「圭……」

顔を上げ圭を見つめると、圭もまた私を見据えていた。

出会った当時はまだ圭は中学生だった。

野球部だったから坊主頭で背もまだ低くて、本当に可愛らしかったのにな。

あっという間に身長は追い抜かれ、こうやって見上げないと圭の顔を見ることができない。