復讐劇は苦い恋の味

散々私を傷つけて、彼は今、いったいなにをして暮らしているのだろうか。

いい会社に就職して、もう結婚して子供がいる? 幸せになっている?

たまらず唇を強く噛みしめる。

わかっている。他人のせいにしたってどうしようもないと。結局は自分で乗り越えないといけないって。

それでも恨まずにはいられない。すべての原因を作った彼のことを――。


そう思うと、もしかしたらお見合いはいい機会なのかもしれない。なにかきっかけを作らないと、私はいつまでも過去に振り回されたままだもの。

うまくいかなくても、男性と会って食事をする機会なんてそうない。少しでも克服するチャンスなのかも。

自然と視線が向かう先は、お見合い写真。途中まで手を伸ばすものの、引っ込めた。

相手がどんな人なのか気になるけれど、見るのが怖い。もし素敵な人だったら?

叔母さんが太鼓判を押すような人だもの。素敵な人に決まっているよね。

でも相手は製薬会社の副社長。そんな人が私と実際に会って気に入るはずがないし、なにより私とは不釣り合い。