「悪いけど俺、美空ちゃんの外見に惹かれたわけじゃないから。……まぁ、きっかけはそうだったけど、今は違うよ。だから例えこの先、美空ちゃんがどんなに太ったとしても、俺の気持ちは変わらないよ」

ふわりと笑って囁かれた甘い言葉に、身体が熱くなる。

本当なのかな。この先、どんなに私が太ったとしても、変わらずにいてくれる?

彼の瞳は愛しそうに私を見つめたまま。そんな目で見つめられると、信じたくなる。

昔の彼ではなく、今の彼の言葉を。

「わかってくれた?」

少しだけ首を傾げ聞いてきた君嶋くんに、胸がいっぱいになる。

言葉が出なくて何度も頷くと、彼は器用に車の施錠を解除し助手席のドアを開けると、そっと私を下ろしてくれた。


「痛みは平気? 血は出ていないけど、多分足首を捻ったよね? 帰りにどこかで湿布を買おう」

心から心配してくれているのが伝わってきて申し訳なる。

「ごめんね。……ありがとう」

そう伝えると彼は目を細め、こう言った。「心配するのは当たり前だから」って。



彼と再会して今日で会うのは四回目。

会うたびに忘れたくても忘れられなかった、嫌な思い出が蘇っていた。

でもその度に、君嶋くんは昔とは違う反応を返してくれる。昔の私が欲しかった言葉をくれて、行動に出てくれる。

それはまるで彼との嫌な思い出がひとつひとつ、塗り替えられていくようだった。