復讐劇は苦い恋の味

「圭くんがいない間に強行突破しないと。美空ちゃんがお見合いするって聞いたら絶対圭くんもついていく!って言い出して、台無しにしてくれそうじゃない? なんて言ったって根っからのシスコンだしねぇ」

「アハハ……」

それはちょっと否定できない。

圭は本当の姉のように慕ってくれている。

けれどその愛はちょっぴり世間一般的に見ると、重い気がするから。

「来週の土曜日、十一時から谷屋ね。あ、服装はかしこまらなくて大丈夫よ。ちょっとだけいい服で来れば」

「え! 谷屋ってあの谷屋ですか!?」

「そうよ、あそこならゆっくりお話できるでしょ? それに美空ちゃん、一度行ってみたいと言っていたじゃない」

谷屋とはよくテレビや雑誌で取り上げられるほど有名な、日本料理店だ。

以前叔母さんが接待で行ったと聞いて、一度でいいから私も行ってみたいなとは話したけれど……。

「そんなわけだから、十時過ぎには迎えにくるわね」

「えっ!」

来るもの突然ながら、帰るのもいつも突然。