復讐劇は苦い恋の味

結局このストラップを購入し彼に渡すと、君嶋くんはすぐにひとつを私に渡した。「つけよう」と言って。

自分のスマホには、可愛い女の子のマスコットキャラクターがついている。

ふたつでたった千円のストラップなのに、君嶋くんはすごく喜んでいる。

その姿を見ると、なぜか私も嬉しく思うから不思議だ。


「じゃあ帰ろうか」

「……うん」

スマホをバッグにしまい、先に歩き出した彼の後を追う。

楽しい時間はいつか終わりが訪れる。……今日はなんも考えずに自分の気持ちに素直になろうと決めた。

そう決めて一日彼と過ごして、見えてきた気持ちってなに?

楽しい、嬉しい、ドキドキする。

そんな感情ばかりだった。……昔のように悔しい、悲しい、苦しいって感情を抱くことは一度もなかった。

ボーッと考え事をしながらゲートを抜け、歩を進める。


「暗くなってきたね。階段あるから気をつけて」

「え……キャッ!?」

君嶋くんの声にハッとした瞬間、階段を踏み外し身体はバランスを失う。

たった二段しかない階段を踏み外し、前方に倒れてしまった。