機動装甲

食事を終え、再びAMハンガーへと戻る。

俺はパイロットスーツに着替えてMk―Ⅱのコクピットに身を滑り込ませた。

…機動装甲のコクピットというのは、皆一様に狭い。

必要最小限の動きで機体の操作を行えるように、狭い空間にあらゆるレバー、ボタン、モニターが密集して配置されているのだ。

俺がコクピットに座ると、サーボモーターの音を立ててコクピットハッチが閉じた。

瞬間、真っ暗になるコクピット内。

しかしイグニションスイッチを入れると同時に、コクピット内のモニター、計器類に光が灯る。

僅かな振動と共に、Mk―Ⅱのジェネレーターが自動的に回転数を上げる。

恐らく外では起動した証として、Mk―Ⅱのゴーグル状の眼が光を放っている筈だ。

俺は手早く計器類を確認し、機体に異常がない事を確かめる。

と。

「真紅郎」

通信モニターに白いパイロットスーツをまとった女の顔が映った。

向かいのAMハンガー…プラチナシルバーのソルジャーカスタムに乗った茜からの通信だ。

「わかってるわよね?私の方が多く撃墜できたら…」

「わかっているさ。Mk―Ⅱを奪うって言うんだろう?」

茜は俺よりも三つも年下だというのに、俺の事を呼び捨てにする。

軍属ならば許されない行為だが、生憎と俺達は帝重工からの出向扱いのテストパイロットだ。

そういう決まりは適応されない。

「何にしても飛行試験の後だ」

俺はジワリと足元のフットペダルを踏み込んだ。