機動装甲

まぁ父親からしてみればもっともな話だろう。

機動装甲開発にかけては右に出るもののない大企業、帝重工の次期社長の座を約束された一人息子が、事もあろうに危険を伴う軍用機動装甲試作機のテストパイロットになったのだから。

…しかし俺は、開発する側よりも機動装甲を駆る側にいたかった。

何も戦争がしたい訳じゃない。

今世紀最大の発明とも言える人型機動兵器、AM(アーマードムーバー)。

まさしく機械仕掛けの鎧だ。

この素晴らしい機体を自由自在に操るという喜び。

俺はパイロットとして、その喜びを味わってみたかったのだ。

…機体制御用OSの書き換えが終わった。

これでMk―Ⅱは思う存分蒼穹を駆け巡ってくれる事だろう。

「茜」

俺はコクピットから身を乗り出した。

「食事にしよう。腹ごしらえを済ませてからテストだ」