機動装甲

確かに、航空性能を持つ機体は帝重工のソルジャーMk―Ⅱだけだ。

しかし、他社が帝重工の機体を利用して航空性能を持つ機体を開発しているとしたら。

コテツブレードを強奪したのも、他社が帝重工のノウハウを盗む為だとしたら。

機動装甲の分野では、現在帝重工が一人勝ちだ。

それをよく思わないメーカーなどゴマンといる。

「成程、読めてきた」

俺はメインレバーを握り締め、フットペダルを踏み込んだ。

途端に加速するMk―Ⅱ!

飛行は出来ても、このスピードから逃げ切れるほど、テロリスト機は速くない。

「貴様の狙いはこの評価試験基地にある『あれ』だな」

公用通信でテロリスト機に語りかける。

「……」

Mk―Ⅱによって背後に肉薄されつつも、テロリストからの返答はない。

この動き、まさかAIという訳でもあるまいに。

「だんまりか、まあいい」

Mk―Ⅱがビームライフルを構えた。

「機体を戦闘不能にした後、じっくり聞かせてもらう!」

俺はメインレバーに取り付けられたトリガーを引く!

同時に発射される真紅の光の奔流。

だが。

「!!」

そのビームは、テロリスト機に直撃する直前に霧散した!