機動装甲

コテツブレード。

帝重工が他の評価試験基地で開発していた機動装甲用の実体剣。

特筆すべきはその切れ味で、ビームや実体弾を無効化するフィールドさえも貫通するほどの性能を誇る。

先日テロリストによってその基地が襲撃され、コテツブレードは強奪された。

ずっとその行方を追っていたのだが…。

「成程…奴がそのテロリストカスタム機という訳か…」

俺はモニターに映るその黄色いソルジャーカスタムを睨んだ。

…テロリストのカスタム機は、スラスターによるホバー走行でこちらに近づいてくる。

「司令部」

俺はすぐに通信を入れた。

「Mk―Ⅱとソルジャーカスタムに、奴との交戦許可を」

「そ、そんな!貴方達はテストパイロットとはいえ民間人です!」

驚いたようにオペレーターが言う。

しかし。

「事態は急を要するんじゃないのか。基地は襲撃を受け、防衛部隊がスクランブルするのにも時間がかかる。そして一番身軽なのは俺達だ」

「……」

オペレーターは躊躇していたが、ややあって。

「司令からの許可を得ました。Mk―Ⅱとソルジャーカスタムにテロリストとの交戦許可を与えます。但し、危険な場合は直ちに撤退してください」

俺は無言でモニターに映るオペレーターに頷く。

「そういう事だ」

俺は続けて茜に通信を送った。

「初の実戦って訳ね」

モニターに映る茜の顔は緊張していた。

「いいわよ…どうせ私達しかいないんだし…やってやろうじゃない!」