暗いからどこまで歩いたのか分からないなぁ。

ちょくちょく仔犬みたいな可愛いどうぶつが、あぁ、魔物だっけ?が襲ってきた。

あくまで仔犬サイズでしかないので噛まれても全く痛くなかった。殺すのは可哀想だったので噛まれたまま歩いている状況。

真っ暗ではあるのだが、私は夜目がきくみたいだ。意外と周りがよく見える。

音や匂いもいつもより感じる気がする。

というかさっきからトイレに行きたいんだよなぁ。

こんな大自然にトイレとか無いし……。ちょっと恥ずかしいけどそこら辺でやるしか無い……よね。

夢の中でしたら起きた時おねしょしてたーってならないかな?できれば早く起きて現実のちゃんとしたトイレに行きたいなぁ。

周りに魔物?がいないのを確認して用を済ます。

なんか色んな意味でスッキリした気持ちになった。

なんかスッキリしたら眠たくなってきた。寝ていて夢を見てるのにその中でさらに寝るってどうなんだろう?レム催眠とノンレム睡眠?が切り替わる的な感じなのかな??

まぁそんなことは寝てみての結果次第ってことで。

でもどこで寝ようかな。

周りを見渡しても基本真っ暗だから遠くまでは見えない。

んーなんかここで寝てもいい気がしてきた。

どうせ起きたらベッドの上だろうし。こんだけ眠たかったら硬い土臭いベッドでも寝れる気がする。

草原?に横になる。

意外と気持ちいい。草の匂いも苦いような甘いような?そんな自然っぽい匂いがして悪くない。心が安らぐような匂いだなぁ。

草がそこまで冷たくなく、クッションがわりになっているので土の硬さはそこまで気にならない。あれだ!芝生?みたいな感じだ!芝生に寝転がったことないからわかんないけど。

そんなことを考えていると自然と意識が薄れていった。

ちなみに犬には噛まれたまま。


ん?なんか獣臭い?

ゆっくりと目を開ける。

どのくらい寝たかは分からないけどまだ真っ暗なことを考えるにそこまで熟睡はして無かったのだろう。

というかまだこの夢続くの?

それより今はこの獣臭。そして私の周りを囲うように陣取って徐々に近寄ってきているのがなんとなく音でわかる。

何が近寄ってきているのだろう?

なんか嫌な予感しかしない。

グルルゥとか。なんか獣が威嚇とかするときみたいな声?が聞こえる。

「ガウッ」

獣が1匹私に飛びついて来た。

咄嗟に身体を守ろうと右手を前に出し守りの姿勢?をとる。

それが悪かったのか、獣は私の右腕に噛み付いた。

「いっっっっ!!!」

言葉すらまともに出ない。

獣は顎にさらに力を入れて牙を食い込ませてくる。

「くっうぅぁ。」

痛みが大きすぎて体に力が入らない。

なんとか立てているのが奇跡だと思う。

痛い。やばい。

「グルゥ。」

獣は噛んだまま首を振る。

「ぅあ。」

何も抵抗できずに地面に叩きつけられる。

空いている左手で殴ろうとはするが、力が入らない。

痛い。辛い。変な汗がでてるし。

本当に死んじゃうんじゃないかって思う。

何か、何か手はないの?

ふと門番の事を思い出した。

そうじゃん!もらったお札があるじゃん!

左胸のポケットからお札を取り出し、獣に叩きつける。

「燃えろー!」

すると、貼り付けたお札の周りから火が出て来た。

「ガウン!ギャウン!」

熱いのか驚いたのか、獣は私から跳ねるように離れた。

そして火を消そうと地面に燃えている部分を擦り付けている。

それでも火は消えずに獣の顔を燃やす。

あ、倒れて動かなくなった。

火の灯りでやっと獣の姿を確認できた。

狼?なんじゃないかな?

ざっとみたかんじ私を囲うように10匹はいるように見える。

集団で襲ってこなかったのは燃えているのがリーダーみたいな感じだったからとかかな?

手を出すな!みたいな?

今襲ってこないのは火があるから?

火を恐れる習性でもあるのだろうか。

火も草に燃え広がっている。私も離れないと……。

噛まれた後がすごいことになってる。自分の手でだけどグロくて見たくない。

痛みは何故かもうあまり無い。でもちょっと寒いかな。

足がふらついてまともに立てそうもない。

「コホッコホ。」

煙がうざったいな。

そういう思考だけ残して、炎と狼みたいな獣に囲まれる中意識が消えた。