「ね、橘さん。
ちょっと付き合ってほしいんだけど」


「え?」


「こっち、こっち。」


急に小学生みたいな悪ガキ顔になる、高橋くん。


「体育館…?
授業やってるんじゃない?」


「さっき覗いたとき、誰もいなかったから大丈夫!」


と、どんどん中に入って行った。


「ほら、橘さんもおいでよ」


いつの間に見つけたのか、バスケットボール片手に手招きしている。


「高橋くん、バスケ部だっけ?」


「俺、サッカー部なんだけどな~」


「あっ、そうだった。ごめん」


「別にいーけど~」


そう言いながら、シュートを始めた。



隣の席の高橋くん。

きっと、誰に対しても優しいんだろうな。

ほんわかする、男の子。

ほわっほわの雰囲気がにじみ出てる。

優しいのに男らしいとこもあるなんて。


握りしめていた手をひらくと、そこには高橋くんがくれた絆創膏。
私はそっとポケットにしまった。