教室に戻っても、興奮覚めない私たち。

「中学最後で優勝なんて、嬉しすぎるね~!」


「今日打ち上げしよ~ぜ~」


なんて、クラス中が盛り上がっていた。


「加奈、ちょっとちょっと」

今日大活躍だった直哉が、廊下から手招きしている。


「な~に~?
打ち上げ、焼き肉がいいんだけど~!」

あーっ、もうハラミが食べたくなってきた。
ハラミらぶ。

にやにやしながら廊下に出る。


「いや打ち上げの話じゃなくてさ…」


「直哉、打ち上げの権限ありそーじゃん。
ってかどした?なんか暗くない?
今日あんなに活躍してたのに。」


「見てくれてた?」


「そりゃ同じクラスだからね。
応援するっしょ!」

元気もりもりポーズをして見せる。


「高橋の応援ばっかしてたくせに、よく言うよ」


「え、ちょ、なんで知ってんの?!」


「加奈のこと、好きだから」



「は?!え、誰が?」


「俺が。」


はあぁぁぁあー??!

「ま、またまた~友達として、でしょ?」


「いや俺は、一人の女としてって意味で言ってるんだけど。」


「も~からかわないでよね!
じゃ焼き肉、ヨロシクね!頼んまっせ!」

バシッと直哉を叩いて、そそくさと逃げ出した。


はぁー…
珍しく深刻な顔するから、なんの話かと思った。


「あのときは、ほんとごめん!!」

後ろから聞こえてくる、直哉の声。


私は聞こえてないふりをして、教室に駆け込んだ。


今度は今さら謝罪…?

意味分かんない。

せっかく優勝してさ、楽しい気分だったのに。
嫌なこと思い出させないでよね。